前回の大規模修繕工事から15年が経過し、2014年には2回目の大規模修繕工事を行う前提で、その計画を進めるために工事着工予定の約1年前に大規模修繕委員会を設置した。メンバーは理事会より理事長、副理事長ほか役員7名と募集した組合員5名の計12名でスタートした。メンバーを12名にしたのは、修繕委員会の会議に常にフルメンバーが揃うことは考えにくく、会議に多少の欠席者が生じても委員会の進行に支障をきたさないためであった。                                                       
会議の開催が通算して30回を数えた修繕委員会の初期段階では、開催日を不定期に土曜のPM7時としていたが、第9回からは毎月第3土曜日のPM2時から4時までとし、その会議の要点は同日の夜8時より開催される理事会に報告することにした。これは、工事が着工した後、修繕委員会で討議される問題点や改善点を迅速に理事会で検討し、その結果をすみやかに修繕委員会にフィードバックして、工事のスケジュールに影響をあたえず問題処理を行っていくことを目的とした。                                                       
また、理事会と修繕委員会とのやり取りは、必ず文書で理事会が必要事項を諮問し、修繕委員会は諮問事項に対し文書で答申するという手続きを行い記録に残した。                                                        
工事が着工されて1ヶ月ほど経過してからは、修繕委員会の会合を月2回—毎月始めの土曜日、同時間—に追加変更し、施工会社より工事の進捗状況の報告並びに修繕工事に必要な修繕委員会から施工会社への要望、指示などを連絡して、相互の意思疎通を欠かさないように配慮した。                                                        
工事着工までの修繕委員会の議事録は、参加メンバーの中から書記を選出し、議事録の内容を修繕委員会委員長が確認した上で、会議開催後の1週間以内に議事録がメンバーに配付されるようにした。                                                        
大規模修繕工事を着工する前段階では、外壁の塗装や修繕内容など2回にわたり住民説明会を開催した。それでも、工事が始まるといろいろな意見、要望を持ち込まれる居住者の方も必ず現れるので、その場合の対応をきちんと行って、出来ないものについてはきちんと理由をのべ、対応できるものは修繕委員会でその内容を検討の上、それが居住者多数の利益になるものについては工事に取り入れていくようにした。 
計画修繕は、どの時期にどのような状態の場合に行うかの判断が難しいものです。このため、大規模修繕工事の計画を進めるにあたり、客観的な第三者として工事のコンサルタントを決める必要が生じた。何社か候補が挙がった中で、実績とコンサルタント料などを総合的に評価して、株式会社東京建物リサーチセンター(TRC)殿にお願いすることになった。                                                        
依頼した業務内容に関しては大規模修繕に関する                                                        
1.建物調査診断 2.改修設計(基本設計・実施設計) 3.施工会社の選定補助 4.工事監理業務 とした。                                                                                                                
今回の修繕工事の予算を決めるにあたり、TRC殿にて計画、検討された修繕内容、範囲をベースに算出された工事予算のシミュレーショは、とても重要な情報であった。                                                        
TRC殿の業者選定評価基準データをもとに、新聞広告で施工会社を募集し、その後、施工会社の絞り込みまでいろいろとアドバイスをいただけたことで、今回の工事に際しては、良い施工会社を選定でき、また、工事予算も想定よりも低く抑えることができたことは、TCR殿に今回の業務を依頼したなかでも大きな功績と考えた。                                                        
工事着工後は、工事全体を第三者の目をもって工事の作業内容を監視し、大規模修繕委員会の会議では、TRC殿の監理者から施工会社への作業内容に関する適切な指摘、アドバイスがあり、そのことでより一層TRC殿への信頼が増した。                                                        
今回のように、大きな金額を必要とする大規模修繕工事では、一般的に管理組合のような素人集団では全く対応が出来ず、したがって、いかに信頼のおけるコンサルタントを選出するかが工事の成否の分かれ目となると感じた。
その意味で、TRC殿は打ち合わせに来られたスタッフ、工事の監理者など皆様がそのプロとしての能力を発揮していただき、工事の計画・住民説明から修繕工事の完成まで、一貫して管理していただけたことで、満足の行く修繕工事が出来たものであり、修繕工事に関わった居住者メンバー全員が感謝していると申し上げます。

今回の大規模修繕工事では、長期にわたり、居住者の中から立候補された修繕委員会メンバーならびに理事会の理事長および副理事長ほか役員の計12名が、修繕委員会の会議に出席され、当分譲マンションの資産価値の維持のためにより良い修繕計画の作成にいろいろな意見を提案されたことは非常に意義のあることであった。                                                        
今回の修繕工事で当初の懸念事項は、満足のいく内容で修繕工事を行った場合に、どのくらいの予算が必要になるのかをつかめなかったことであった。TRC殿のアドバイスのもとで修繕計画を進めていく中で、2013年の秋に突然、エレベーターの納入会社よりエレベーターの耐用期限が近づいており、その際に必要な修理部品が供給できないとの連絡を受けた。また、現状の法令にのっとった耐震規格に改造する必要があるとのことであった。
このエレーベーターのリニューアルも緊急に対処する必要に迫られ、まず、大規模修繕工事の施工会社と工事予算を決定することを前提に、慎重かつ迅速に行動したうえで、施工会社が決定され、同時に工事予算も明確になった。
その結果、エレベーターのリニューアル工事を行う決断が出来、修繕工事の着工前にリニューアル工事を終わらせることができた。                                             
そしてエレべーターのリニューアルならびに修繕工事の期間中は、いかに居住者の不便を取り除くべく、居住者へのアンケートも行いながら対応につとめた。                                                        
修繕委員会ならびに管理組合理事会のメンバーが、今回の大規模修繕工事にいかに真剣に取り組み、議事内容を定期的に居住者の皆様に報告しても、居住者からの細かい不満は避けられないもので、なかには今回の修繕工事にも全く無関心の居住者の方もあり、たった123世帯のこの居住環境を維持することの難しさを感じられた。
いずれにしても、今回の大規模修繕工事は、良いコンサルタント、良い施工会社ならびに多くの時間をさいて会議に出席していただいた修繕委員会メンバーと管理組合理事の密接な協力があったことで、無事故で工事の完成にいたることができたと確信しています。
ISO9001・品質マネジメントシステム お客様インタビュー 神奈川建物リサーチ・センター建物の「劣化修繕」用語集