当マンションにとって、初めての大規模修繕工事であり、着手当初は正に手探りの状態でした。先ずは当該工事のグランドデザインを描くべく、大規模修繕委員会内で議論、また各種の調査をし、その中で技術コンサルタントの存在、そしてTRC殿の名を知りました。

「建物劣化診断」「改修設計」「施行業者選定補助」「工事監理」といった一連の業務をお任せする技術コンサルタントの選定にあたり、当然、同業他社との比較を致しましたが、TRC殿が保有する豊富なご経験と知見を評価させていただきお任せすることとなりました。

TRC殿からは、各フェイズにおいて、素人集団であった大規模修繕委員会への的確なアドバイス、成果物としての各種資料のご提供、施行業者への牽制機能等を発揮いただき、大規模修繕委員会の期待値を上回る内容、結果であったと評価しています。

特に、限られた工事予算と建物診断に基づく推奨工事の仕様との乖離を調整する作業、施行業者選定計画の立案、選考にあたっての専門知識、経験に基づくアドバイスには大変助けられました。

まず、マンション管理組合の諮問機関として大規模修繕委員会の設置をいたしました。 大規模修繕委員会が中心となり、関係各所における合意の形成に努めました。以下に注力点等を記載いたします。

1.住民間における合意形成
準備期間においては、住民との合意形成のため、定期総会での説明の他、重要事項(施行業者選定)については臨時総会の開催、また、TRC殿のご協力もいただきながら大規模修繕委員会による各フェイズにおける住民説明会の複数開催、情報誌の発行等を通じて住民への情報発信を継続しました。情報発信において、特に留意した点は主に以下であります。

(1) 大規模修繕工事の必要性の説明
(2) 工事期間中における不便性への理解の浸透
(3) 技術コンサルタント・施行業者選定手続きの透明性の説明
(4) 工事仕様及び支出検討の透明性の説明

2. 管理組合における合意形成
管理組合、大規模修繕委員会、双方の立場・役割・責任を明確にし、認識を共通にすることが最も重要なことであるとの理解のもと、大規模修繕委員会の設置をしました。
管理組合においては大規模修繕委員会への諮問内容、大規模修繕委員会においては管理組合へフィードバックする各種事項の検討結果(提案、起案等の成果物)内容の明確化を心掛けました。同時に、大規模修繕委員は、「管理組合との兼任者」と「住民からの有志」という構成にし、より管理組合との情報連携がし易い組織体制としました。

着工までの準備期間に1年8ヶ月、工事期間に7ヶ月半を要し、また支出した費用も大変大きな金額となり、管理組合、大規模修繕委員会のみならず、住民にとっても大きなエネルギーが必要であったと実感しています。

TRC殿の的確な工事監理もあり、ほぼ予定通りの完工を迎えることができたこと、及び積極的な情報発信によって工事期間中の不便性への住民の理解を得られた点は非常に良かったと感じており、完工した現在は大きな達成感があります。また今回の工事では、長期間に渡る対応のため、結果的にマンション内の数多くの住民が関わることとなり、ひとつの目的に向かっての共同作業を通じた一体感を持つことに繋がったと感じています。

ISO9001・品質マネジメントシステム お客様インタビュー 神奈川建物リサーチ・センター建物の「劣化修繕」用語集