三回目の大規模修繕工事は、建物の寿命を左右する重要な工事であることは、修繕委員全員の一致した認識でした。そこで、以前、共用部及び専有部給排水管更新工事の際、設計・監理を依頼し、十分な実績と信頼に応えて頂いた、TRCさんにお願いしました。
当マンションには、理事会の下部組織として、ふよう会(歴代理事長経験者等の有志で構成する常設の委員会)が20数年前から存在し、単年度を担当する理事の補佐をしてきました。
大規模修繕を実施する場合、理事会が委員を募集して、大規模修繕委員会を立ち上げますが、ふよう会メンバーも自ら手を上げ、今までの経験を生かして、居住者が日常不便に思っていることを工事に反映させる体制で進めました。
上記のようにマンションの運営について、一人でも多くの居住者が、継続して連携をとれる仕組みを作ることが、建物・設備の維持や、資産価値の向上に繋がると思います。

最初にTRCさんから、設計段階での工事総見積りの提示を受けたときは、我々の予算をはるかに上回るもので、愕然としました。詳しく話を聞くと、全修繕項目を積み上げたものであったという事と、東日本大震災やオリンピック施設の建築等で、ここ数年で急激に建築費用が高騰しているとのことでした。
そこで我々の選択肢は以下の3点となりました。
1、大規模修繕の資金が確保できるまで先送りする。
2、予算内でできる工事を実施して、その他の工事は先送りする。
3、融資を受けても、必要な工事は実施する。
最終的には、3の結論に至りました。
検討を進める上で、資金に余裕がない中で、一時的に費用が高くなるけれども、機能性が向上した新資材を採用することで耐用年数が長くなり、将来的にはコストダウンにつながる多くの提案が示されました。その結果、修繕委員の工事に対する認識が高まり、我々の希望に沿って設計仕様を何回も作り直していただきました。今回実施した計画が、最善であったと確信しております
業者選定においては、見積金額や工事実績も重要だが、何より、現場代理人の力量と、人柄が、重要であることを、TRCさんから教えていただき、最良の業者を選定することが出来、居住者からの問い合わせに対しても、修繕委員が常に立ち会うこともなく、現場代理人と監理者で誠実に処理していただいたことで、居住者の現場代理人への厚い信頼感ができ、修繕委員一同感謝しております。
週1回の監理者会議に出席し、工事の出来具合を判断するには、どのポイントが重要かをご指導いただき、いかに丁寧に工事を実施しているかを確認でき、満足できる出来栄えとなりました。

私自身も今回の大規模修繕工事では、終日在宅する立場になり、外出の少ない主婦の方々が、工事中での日常生活の大変さや、臭い、騒音といった迷惑に耐えていただいたことを実感しました。また一方では、居住者が不自由を感じないような工夫を随所で見ることもできました。
TRCさんは居住者と施工業者との調整役ではあるが、居住者の立場に重点を置いて進めていただいたことで、今回のような素晴らしい工事が完成出来たと思います。
追加工事が発生した際も、適正な仕様、工程、金額を施工業者との間に入りアドバイスして頂き居住者の方々へも自信を持って説明できる仕上がりとなりました。
TRCさんに設計・監理業務を依頼しなかったら、今回のような結果は、得られなかったと思います。

ISO9001・品質マネジメントシステム お客様インタビュー 神奈川建物リサーチ・センター建物の「劣化修繕」用語集