耐震工事については、当マンションが東京都の緊急避難道路(葛西橋通り)に面していたことから、平成21年には区から耐震診断の働きかけがありました。診 断の結果、コンクリートの強度に問題はありませんでしたが、建物間の間隔が現行基準法より若干狭いという指摘を受けました。

平成22年7月に管理組合臨時総会において耐震改修工事の施工を決議しました。当時第3回目の大規模修繕工事を控えており、9月には区分所有者の有志を 募って大規模修繕委員会を立ち上げました。大規模修繕委員会が最初に決定したのは、発注業者が設計から施工まで全てを行なう責任施行法式か(当マンション の過去2回の修繕工事はこちらでした)、設計・監理と施工を別々の業者に発注するコンサルタント方式にするかでした。費用が発生しても、施工業者を公正に 選定し、施工監理を行なえ、組合員にも情報開示や説明がしやすいコンサルタント方式を採用しました。

結果的には費用面においても、コンサルタント方式を採用した方がはるかに減額となりました。
平成23年3月には東日本大震災が発生しました。当マンションにも被害はありましたが幸いなことに大事にいたることはありませんでした。このあと耐震改修 工事と大規模修繕工事を一緒に行なうことを決め、耐震改修工事の監理業務についてもTRCさんにお願いすることにいたしました。時間的に大規模修繕工事と 耐震改修工事の打ち合わせ会議を別々に行なうことはできませんでしたから。

この後、TRCさんのアドバイスのもと施工業者の内定にまでこぎつけ、平成23年7月の管理組合総会において大規模修繕工事、耐震改修工事施工を最終的に 決議いたしました。総会決議については、TRCさんの協力による居住者説明会の開催が大いに役立ちました。

その道の専門家ではありませんので評価はしづらいのですが、TRCさんの場合、数をこなしている分だけマニュアルがしっかりしていると感じました。
設計については、時間的な余裕もあまりなく、改良・改善工事の検討から設計仕様・施工範囲の最終確認までは、正直、かなりハードなスケジュールでした。ス ケジュール管理がしっかりしていなければとても間に合わなかったことでしょう。成果図書については、私のような素人にも非常に分かりやすいものでした。

監理業務については、大規模修繕工事、耐震改修工事、震災の補修と重なりご苦労様でした。施工監理担当の方がベテランの方で大変助かりました。毎月の「監 理月報」「監理者検査及び指示事項一覧表」では、きめ細かい指示事項が明記され、今現場で何が問題になっているかが手に取るように理解できました。

また、今回の施工期間では東北の復興事業との関連で、熟練工の手配が難しい時期もあったようです。特に耐震改修工事については区への補助申請工事というこ ともあって非常にやっかいなところもあり、TRCさんのご助力がなければ無事竣工できなかったのではと感謝いたしております。

工事そのものは平成23年9月に始まり平成24年2月に無事竣工しました。
大規模修繕工事は3回目ということで、いろいろ大変な面も多かったかと思います。耐震改修工事も躯体を削って建物間の間隔を拡げるという、思った以上に大変な工事でした。

別々に着工した方がよっぽど楽だったような気もしましたが、苦労した分だけ工事金額の大幅な減額が出来ました。また居住者による工事への評価は、概ね好意的なものが多かったように思います。

今回の工事を通じて当マンションの問題点や課題も見えてきました。長期修繕計画をしっかり立て、次の修繕工事に向けて設備関連をしっかりメンテナンスして いかなければと思っています。まずは来年早々にやってくる一年目の定期点検を見守りたいと思います。

ISO9001・品質マネジメントシステム お客様インタビュー 神奈川建物リサーチ・センター建物の「劣化修繕」用語集