初めて迎える大規模修繕工事にあたり、当マンション管理組合では管理組合の諮問機関として大規模修繕委員会を発足させました。管理組合の理事は毎年半数が交代になることから、大規模修繕工事の実施計画策定から業者選定・工事・竣工まで一貫した体制で取り組む必要性を感じ、実に工事着工(2014年8月)の2年前には第一回大規模修繕委員会をスタートさせました。

大規模修繕委員会で最初に取り組んだのはコンサルタント会社の選定で、最終5社の中からTRC社に決めました。決定までに7ヶ月もの期間を要しました。
その後はTRC社の豊富な経験と実績から的確なアドバイスを受け、居住者アンケート、バルコニー内立入検査、建物診断、居住者説明会等を経て「大規模修繕工事仕様書」を取りまとめ、施工業者選定へと進みました。当マンションは5棟484戸からなる大型マンションであり工期も7か月強を要することから、施工業者選定にもかなり頭を悩ませたことは記憶に新しいところです。選定にあたりTRC社のアドバイスはとても参考になりました。

施工業者決定後は3者(施工業者、監理会社のTRC、発注者の管理組合)が協力して工事の推進を図りました。工事にあたり一番気を遣ったのは、多くの情報を正確に居住者へ提供するためにはどうすればよいか、居住者から寄せられる質問や要望にどう応えていくかということでした。工事内容に関する専門的な説明は施工業者とTRC社に対応をお願いし、工事方針に関わることは大規模修繕委員会(管理組合)で対応する様に役割分担を明確にして取り組めたことは、無事竣工を迎えられた秘訣だったように感じております。
もちろん、工事期間中は多くの制約を強いられることになるのですが、我慢いただき協力していただいた居住者の理解があったからこそ、当初予定通りの期間・費用で大規模修繕工事が竣工できたと思っております。この場を借りて本件工事に関わったすべての方々に感謝を申し上げたいと思います。

■参考(大規模修繕委員会発足から工事竣工までの概略スケジュール)
2011年2月 大規模修繕工事に向け始動
2012年9月 大規模修繕委員会発足、第1回会議開催:コンサルタント会社選定
2013年5月 管理組合総会で大規模修繕工事の実施を報告
       居住者アンケート、バルコニー立入検査、建物診断
2013年12月 居住者説明会
2014年1月 施工業者公募
2014年4月 業者選定
2014年5月 管理組合総会で工事内容、工事金額、スケジュール等承認
2014年6月 3者(施工業者、監理会社、管理組合)による定例会議スタート
2014年8月 上旬:工事説明会(居住者全体の約半数が出席)
2014年8月 下旬:大規模修繕工事着工
2015年3月 竣工

当マンションは2000年に建築されましたが、大規模修繕工事を計画し建物診断を実施した際は築後13年が経過しておりました。

TRC社に初めて当マンションを見て頂いた際は、築年数よりも非常に程度が良い状態であったと当時の委員からは伺っておりましたが、大規模修繕工事の段階ではやはり大きな費用がかかりました。予算的なことから申し上げると、昨今の工事費高騰の影響(消費税の増税・東北の復興事業・オリンピック開催決定など資材高騰、職人不足が影響した部分も多いと思う為)もあり、止む無しではあるとは思いますが、少し見積もりが甘かった部分もあると感じました。

このような状況変化の中、工事範囲(工事仕様書)をまとめていく上では費用を優先すべく、機能や性能上問題ない箇所や部位を補修対象外にするため、かなりの労力を費やして繰り返し協議をしましたが、このあたりの進め方は双方での改善も必要であると思いました。
また、私自身工事仕様書がほぼ固まる頃からの参加となったのですが、御社におかれましても、大規模修繕工事及び長期修繕計画書の作成において担当者が複数変わってしまったことは、我々にとってマイナス要素だったと感じております。

一方、さすがプロだなと思う点もございました。工事着工後のことになりますが、外壁タイルの補修対象基準に関しては、専門的見地から最善の対応方針を示していただいたにもかかわらず、当管理組合側からのたび重なる疑義に対しても真摯に対応いただき、コスト削減に取り組んでいただいたことはとても感謝しております。結果、基準の見直しを決断したことでコスト削減に大きな貢献ができました。

もうひとつ、工事期間中多い日は100名を超える職人さんが一斉に作業をされていたのですが、安全配慮には特に気を配っていただきました。施工業者への徹底した安全指導にも大変感謝しております。お陰様で、工事期間中の人身事故は1件も発生しませんでした。
次回に向けた課題としては、どこまで監理をお願いするかという点がございます。契約上、工事期間中の現場監理は週2~3日程度でございましたが、期待以上の監理を行っていただけたと感じております。予算内かつ期限通りに工事が竣工したことは、少ない時間の中で数多くの的確なアドバイスがあったからこそ実現できたものと思っております。
1点欲を言わせていただくならば、建築の素人である住民の希望を専門家の意向で導くのではなく、希望通りに実現するためにはどうすればよいかを徹底的に考えていただけるとよかったな、と感じたことがございました。そういった意味では、予算や期間などもある程度柔軟に対応できる契約内容を検討することが、次の大規模修繕工事に向けた当管理組合側の反省点かもしれません。

とにかく無事竣工してホッとしております。
Question1でも記載させていただいたように、当管理組合の理事は毎年半数が交代となり、理事長においては大規模修繕委員会が発足してから毎年交代しました。

①コンサルタントを選定し工事の必要性を付議する。
②工事内容・金額を決め業者を選定し総会で承認を得る。
③計画に基づき工事を実施する。

大きく分けると上記3つのフェーズがあったのですが、私は③の時期に理事長を務めました。
個人の感想ではございますが、居住者向けの全体説明を時を分けて計4回(総会2回、工事説明会2回)実施したことは大変良かったと感じております。一方で、工事が始まるまでは居住者も手探り状況だったと思いますが、工事が始まれば色々な問題が発生するのではないかと想定しておりました。案の定、多くのご要望やご指摘、厳しいご意見が施工業者、管理組合に寄せられました。迅速さは欠けたかもしれませんが、居住者と連絡をとり一つひとつの課題を丁寧に対応することを心がけておりましたので、大きな問題へ発展することはありませんでした。一例ですが、居住者宅に3者で説明に伺い対応方針を検討したことは良い経験になりました。

また、大規模修繕委員会が発足してから、工事竣工までに計33回の定例会議を行いました。定例会議は通常夜8時から始まりますが、時には深夜0時近くまで議論を尽くした回もありました。色々な方々がそれぞれの思いと使命をもって、大規模修繕工事に臨んだことが今回の結果につながったと思っております。皆様、本当にお疲れ様でした。
ISO9001・品質マネジメントシステム お客様インタビュー 大阪建物リサーチ・センター 神奈川建物リサーチ・センター建物の「劣化修繕」用語集