TRCさまには今回の工事の立案から携わって頂いています。高層建築ということで工法そのものから検討をいただき、入札時点で施工業者がどのような工法まで提案できるかが判断の材料とすることができました。見積もりについても数量の見積もりが概算ではなく実際に施工者がそのまま見積もれる形のものであり、見積もり価格の根拠を含めて検討することが可能でした。管理組合はあくまでもボランテアでの活動でもあり、時間が限られる中で御社からのタイムリーな資料作成と助言がなければ、これほど順調に工事の発注まで持ち込めなかったと思います。感謝しております。
工事監理については個人に頼りすぎる一面が見られました。ご経験豊富なご担当であるが故に、ほぼ任せきりという形になったのかとは推察しますが、監理会社としての顔が時に見えなくなる懸念がありました。つまり監理者と施工者の関係が親密にすぎる場合、監理会社の持つ厳密さが施工者からは感じられなくなる可能性があります。時に”本部”からの抜き打ち検査などの手法は有効かと考えます。
仮設の設備、工事事務所、仮設トイレなどが意外と目立ちました。結果ロビーは暗くなり、出入り口もせせこましい。ただ、個々の設備の必要性は充分に周知されていたため、特段の苦情も無かったことは幸いでした。
ウエルタワーの特徴として、複合施設であることが挙げられます。保育園は区、デイケア施設は法人、防潮堤は都など管理組合は一つといえども多くの役所との折衝が必要な場合がありました。設備によっては所有者が不明確なものもあり、工事実施可否の調整そのものがどうすれば良いのかがわからないなどの問題があります。
また、今回は設計事務所が大変好意的であり個々の問題に対して、誠実な対応をしていただけましたが、通常の場合必ずしも必要情報が保管管理されているとは考えられません。超高層については設計思想が年々変化している事もあり、如何にして必要情報を保管するかも今後の問題となるかもしれません。
TRCさまのようなコンサルタント会社があることで集合住宅の保全が保証される仕組みかと学びました。冒頭書きました通りボランテアで専門家でないものが、適正な判断を迫られ責任を引き受けることは困難です。
作業をされる職人の皆さんが日々挨拶してくださること、仕事の後片付けの丁寧なこと、など日本で良かったと感じさせてくれます(外国の作業者もいらしたのでしょうが教育訓練が行き届いていたのかと思います)。自分の住まいで日本のものづくりの一端を見せていただいたような気がしています。
最後になりますが資金面での問題がなかったことはすべての作業において判断を曇らせなかった事は幸いでした。やはり資金の確保は重要です。